メッセージ

泊原発の廃炉をめざす会へよせられたメッセージ

泊原発に関心を持ち行動を起こされる皆様へ

福島第一原発の大事故によって安全神話が完全に崩壊した今、多くの市民が原発の危険性について自らの問題として考え発言し行動することになりました。  札幌市にも多くの市民の皆様から不安の声が寄せられておりますことから、現在稼働している泊原発の安全対策に万全を期すること、安全対策の実施状況に関する情報を積極的に公開すること、すべての事故について事故発生時には迅速適切な情報提供をすること、加えてMOX燃料についての安全性や使用後の処理処分技術が確立していない状況下でプルサーマル計画を凍結することを、北海道電力に申し入れました。

そして、原発事故が起きたときを想定した札幌市防災計画を策定する作業にも着手しているところです。

また、脱「原発依存」社会を目指し、泊原発の電力供給を不要とするためにはどの程度省エネを行い、どの程度の再生可能エネルギィー等の代替エネルギィー設備を整備することが必要かつ可能かについて調査する予算を確保し、脱原発社会実現に向けた具体的歩みを始めました。

札幌市議会においても、去る6月30日国に対して脱原発政策への転換を求める意見書を全会一致で採択しました。これは市民の声を代表する画期的な議会決議ということができましょう。

このような状況の中で、司法の場で泊原発の廃炉を求める行動を起こされる市民の皆さん方の行動に対して、札幌市としても重大な関心を持ちながら注目をさせていただきたく存じます。

私個人としては、かつて弁護士として泊原発5万人訴訟のご相談を受けたり、高レベル放射性廃棄物処分研究施設にまつわる「幌延訴訟」を担当した経験から、ここに参加されている皆様方の活動によって、原発問題を正しく判断するために必要な情報を獲得し、これを多くの市民が幅広く共有する運動に発展することを期待しております。

2011年7月7日
札幌市長 上田 文雄

「泊を 止めてください。MOX燃料導入を やめてください」

これは、福島の仲間たちから預かってきた声です。福島原発は、MOX燃料導入を許してなければ、3号機の核爆発、プルトニウムの拡散汚染という最悪の状況にはなりませんでした。

私たちは、目に見えないプルトニウム汚染に、子々孫々まで 怯えていかなければなりません。

私は、現地に住んでいて見殺しにされている福島市民です。

福島原発から65km離れた場所にあります。65kmも離れているのに、福島市内は3月15日に23、89 μsv/hの空間線量となりました。通常の478倍だが、直ちに健康に影響はないと。

私たちはその頃、水も無く、ガソリンも無く、食料も朝早くから、並んで購入していました。母親は、子どもを家に置き 自転車で買い出しに行くしかなかったん です。次の日、福島市の水道水から、ヨウ素131が177вq/kg 出たと報道されました。

しかし3月15日の夕方から降り出した雪を測ると、市内から 10万вq/kgのヨウ素131が検出されたと 報道されたのは、実に2か月 以上後でした。

その後、福島県は、県放射線アドバイザーを依嘱しました。

長崎大学の山下俊一教授は、福島県内で3月19日から講演し、「100ミリシーベルトまで なんの問題も無い。一時間あたりなら、大人は100マイクロシーベルトまで大丈夫。子どもは、安全域を厳しく考えても10マイクロシーベルト以下なら、外で遊んでも大丈夫」 と、大丈夫、安心と、言って歩きました。この内容は、毎日 毎日、朝昼晩と、地元のラジオから、何度も何度も繰り返し流されました。

学校も同じです。何の調査もしないまま、4月になると学校は普段通りに、再開してしまいました。その後、校庭の空間線量を測るという形で。そして、我が子の通う学校の校庭は、4、6μsv/hもあったのに、校庭の土の除去もされず、夏休みを迎えるんです。

親たちは、教育委員会に何度も電話して訴えました。しかし、「壊れた校舎を直すだけの予算もありません。」郡山市が土壌除去を始め、二本松市、伊達市が土壌除去を始めても、福島市の動きは、大変遅いものでした。 母親たちが直接文部省交渉をし、ようやく、動きが出てきた所です。

しかし、実に、3か月も過ぎていました。 その間に子どもたちは、学校に登校しています。小学生は、熱い中、窓も開けられない校舎の中にいます。校庭で遊ぶこともできず、プールも入れません。 しかし、隣りの中学、高校は3μsv/hの校庭で、2時間以上の部活動を普段通りにやってるんです。

こんな異常状態です。

もちろん汚染された田んぼにも、畑にも、なんの対策もありませんでした。市民は、大丈夫、大丈夫、安心、安心と、洗脳されているんです。だから、誰も動かないんです。

私はようやく、6月18日に自主避難してきました。小学生の息子を連れて。この夏、1000人近くの赤ちゃんや幼児を連れたお母さんさんたちが札幌に避難してきます。

福島県の半分は、もう、子供たちを育てていく場所が無いんです。空気も水も土も汚染されています。地元の野菜は 何も食べられません。流通しているのは、近隣の県産だけなんです。

子供たちは、公園で遊ぶこともできません。公園が高濃度に汚染されているんです。滑り台の下が、10μsv/hです。

なのに、国も、県も、市も、何の対策もしません。 私たちは、札幌なら、安全だろうと日本中を選択肢に入れながら、600キロ以上離れた北海道を選択しました。

私たちは、泊で原発事故が起きたら、もう逃げる場所はないんです。泊で事故が起きたら、確実に札幌は 汚染されます。福島市と 同じ状況です。ジェット気流の風下にある札幌市は、どんな条件にあっても、福島市以上に汚染されます。 札幌市民200万人は、どこに逃げますか?芝生や 牧草が、とてつもなく高濃度に汚染されます。プルトニウム239の半減期は、24000年です。プルトニウム数粒を吸い込んだら、内部被曝は、外部被曝の影響より、一兆倍の影響を 人体に与えます。

地震はいつくるかわかりません。泊原発3号機は、古い原子炉のタイプだし、耐震性も大変甘い設計だと聞いています。どうしたら、未来永劫安心な北海道を造れるのでしょうか?

浜岡原発も最悪の状況に陥ったら、東京都民を受けいれられるのは、北海道しかないんです。

今なら、なんとか、北海道を救えるかもしれません。本当に、今です。日本中に、54基も原発が出来てしまった今、日本国民を救えるのは北海道しかないんです。

ぜひ、泊を止めてください。

2011年7月7日
福島から6月18日に自主避難されてきた方のアピール