目次

はじめに
第一章 日本を変えるステージの始まり 市川守弘
北電からの「お願い」と「お知らせ」/電気の必要量は私たちが決めること/絶対的安全は嘘だった/相対的安全性というごまかし/政・産・官・学のカルテット/泊原発の廃炉を求める訴訟、そして国民的大運動/裁判所は信用できるのか
■ 原発と向き合う—それぞれの現場から1

泊原発をなくす希望の鐘 斉藤武一

第二章 倫理観から見た原発の正体 常田益代
忘れていた「安心して暮らせる国」/原発と命の尊厳は共存できない/活動期に入った地震大国・日本/手におえない使用済み核燃料/難題の使用済み核燃料の保管/作業員の被曝で成り立つ原発/子どもの健康をないがしろにした日本/生命誕生を恐怖に変えた原発/不可逆性の原発事故と生存権/無毒化できない放射性物質/泊一〇〇キロ圏内に六割の道民/フクシマ事故を正面から受け止めたドイツ/国民の安全より原発再稼働の日本/「軽視、傲慢、無責任、不義」/行動を起こし始めた市民たち/原発の「安全神話」も崩壊/倫理観が欠如した東京電力/地球市民としての責任/集中独占型から地域分散型発電へ/未来への贈り物を残そう
■ 原発と向き合う――それぞれの現場から2

命を守り育む農業を守る 村上順一

■ 原発と向き合う――それぞれの現場から3

雑木林の暮らしから 清水晶子

第三章 泊原発に迫る地震と津波の危険 小野有五
福島第一原発より危険な泊原発

一、大地震はなぜ起きる――地球上のプレート運動とマントル対流

東西に移動している太平洋プレート/世界の主な地震はすべてプレート境界で起きている/世界の原発のほとんどは安定大陸の上にある/日本列島は四つのプレートのぶつかる場所にある/太平洋プレートの沈み込みと巨大地震/日本海側のプレート境界/新生プレート境界?/「新生プレート境界」の複雑な動き/ゆるやかに沈み込むユーラシア・プレート/アムール・プレートとオホーツク・プレート/

二、海底の活断層が警告する大地震と巨大津波

鯨になって海底を見ると/ヒグマのいない奥尻島/※コラム 気候変化と海面変化/奥尻海盆と後志トラフ/奥尻海嶺、後志トラフ、奥尻海盆の成因/南西沖地震を起こした断層は/「リバンウンド地震」が起きる?/都合の悪い活断層を認めようとしない電力会社/表層しか見ない地質学、全体を見る変動地形学/海底の活断層をどう見るか/原発に最も近い活断層/後志トラフ西縁断層と連動地震/※コラム 疑問だらけの地震動と原発の耐震性

三、奥尻島と南西沖地震

ふしぎな島、奥尻島/※ベンチとノッチ/※S面(M1面)/奥尻島は傾きながら隆起した!/歴史が教えてくれる地震性隆起のすごさ/大地震で地盤が沈下することもある/くりかえし起きていた奥尻の地震と津波/四つの津波堆積物/なぜ津波は証拠を残しにくいか/泊原発周辺の津波堆積物はあるか/地震性隆起を示す泊原発周辺の地形/地盤隆起の想定がない原発

■ 原発と向き合う――それぞれの現場から4

地域のエネルギーで地域が潤うしくみへ 宮内泰介

第四章 泊原発は構造的にどこが危険なのか

齋藤健太郎・林千賀子

一、原子力発電のしくみと基本構造

核分裂反応と放射性物質/極めて重要な役割を持つ水/加圧水型と沸騰水型の原子炉/加圧水型の基本構造の欠点/過去における海外での重大事故

二、原子力発電所における重大事故――冷却材喪失事故

冷却材喪失事故とは/経年劣化で生じる「応力腐食割れ」/困難な保守・点検での「応力腐食割れ」発見/多発する蒸気発生器の損傷事故/過去の重大な蒸気発生器事故/放射性物質が漏れ出す再生熱交換器事故/ECCS作動の保障のない冷却材喪失事故

三、原子力発電所における重大事故――原子炉の破壊

大惨事につながりかねない脆性破壊/泊原発でも脆性破壊の危険性が/加圧熱衝撃(PTS)による破壊の可能性

四、安全性を確保できない検査体制

欠陥の大きさと対応しない欠陥信号/後追い処置では事故は防げない

五、待ち受けるさらなる危険――三号機プルサーマル計画

増え続ける猛毒物質プルトニウム/人間の力では制御不可能な原発

■ 原発と向き合う――それぞれの現場から5

被災者と共につくる街づくり みかみめぐる

第五章 フクシマで起きたことが泊で起こったら難波徹基

一、福島原発事故の被害の大きさ

対岸の火事ではない福島の事故/チェルノブイリと並ぶ史上最悪の原発事故/人体細胞を破壊する放射性物質/関東、東北にも拡散した放射性物質/気象条件に左右された拡散地域/地域社会を崩壊させた原発事故/生まれ故郷を追われた住民たち/個人の尊厳を失う危機に直面/自主的避難民の苦悩、残る住民の苦悩/低線量被曝による健康被害の危険/後を絶たない農作物からの放射能検出/産業活動全般に被害深刻

二、泊原発の重大事故で想定される被害

西風で被害受ける札幌圏/原発事故で崩れる「北海道ブランド」

■ 原発と向き合う――それぞれの現場から6

故郷を奪われる苦しみ 宍戸隆子

第六章 原発なしでも北海道はやっていける 菅澤紀生

一、冬も原発なしで乗り切れる北海道の電力供給

わずか二五パーセントだった原発発電量/供給予備力と過去の最大需要/三・一一以降の泊原発の稼働状況/電力不足をあおる北海道電力――
二〇一一年冬の予測と実績/二〇一二年夏の予測と現実/二〇一二年?一三年の冬も電力は足りている/北本ケーブルを計算外にする北電/こんなにある北海道の再生可能エネルギー

二、そもそも泊原発三号機はいらなかった

道議会で三号機の何が議論されたのか/伸び率・年平均二パーセントという過大な見積もり/三号機を容認した堀知事/※コラム 「道民のご意見を聴く会」での「やらせ」 問題/電力需要の増加はわずか年約〇・五パーセント

三、これからのエネルギーについて考える

「代替エネルギーが必要」という間違った主張/ドイツのエネルギー戦略/
エネルギーの効率化をめざすドイツ/※コラム 一次エネルギーと熱の損失/
熱を捨てずに利用するコジェネレーション/スペインでの再生可能エネルギー発電/
スペインにおける発電と送電の実態は/エネルギーを効率化しやすい北海道/
再生可能エネルギー基地北海道/再生可能エネルギー一〇〇パーセントの村/
エネルギー地産地消での地域循環型経済に

■ 原発と向き合う――それぞれの現場から7

全国に広がる北海道発「市民風力発電」 鈴木亨

七章 司法は福島事故に重い責任がある 海渡雄一
国や東電からの情報が一切なかった地元/多発する災害関連死/人格権を根拠にした民事訴訟/原発の潜在的危険性を指摘した最高裁判決/安全審査の欠落認めたもんじゅ高裁判決/旧耐震設計指針の不合理認めた志賀原発訴訟/新耐震設計の確認中だった浜岡原発/浜岡原発が抱える問題点/静岡地裁が犯した誤り/国の判断を追認するばかりの最高裁/保安院指示に屈した原子力安全委員会/旧指針の安全基準を追認した静岡地裁/保安院と東電を断じた国会事故調/稼働直前の原発を廃炉にしたドイツ/原発のない社会の実現を目指して
おわりに